インドネシア警察のデディ・プラセティヨ次長は2026年3月2日、今年のレバラン帰省(Mudik Lebaran)に伴う移動人口が、全国で約1億1,390万人に達するとの予測を発表しました。前年の1億1,640万人からは約257万人減少するものの、依然として日本の総人口に匹敵する規模の人々が一斉に移動を開始します。
「ムディック(Mudik)」:年に一度の民族大移動
「ムディック」は、イスラム教の断食明け大祭(レバラン)に合わせて、都市部の労働者が故郷へ一斉に帰省するインドネシア独自の習慣です。
- 規模感: 単なる帰省の枠を超え、航空・鉄道・船舶、そして数千万台のバイクや自家用車が幹線道路を埋め尽くす社会現象です。
- 経済効果: 都市部から地方へ莫大な現金が還流する一方で、交通インフラには極限の負荷がかかります。
2026年ムディックのピーク予測:警戒すべき「2波構造」
警察の分析によると、今年の帰省ラッシュは週末と平日に分散した「2つの波」が訪れる予測です。
【往路:故郷へ(Arus Mudik)】
- 第1波: 3月14日(土)~ 3月15日(日)
- 第2波: 3月18日(水)~ 3月19日(木) ※ここが最大の山場となる見込み。
【復路:都市部へ(Arus Balik)】
- 第1波: 3月25日(水)~ 3月26日(木)
- 第2波: 3月28日(土)~ 3月29日(日)
「ケトゥパット作戦 2026」:16万人の厳戒態勢
警察は交通安全と治安維持のため、恒例の特別警備計画「ケトゥパット作戦(Operasi Ketupat)」を展開します。
- 実施期間: 3月13日(金)~ 3月25日(水)の13日間。
- 投入兵力: 警察、軍、地方公共団体など合わせて16万1,243名。
- 重点箇所: トランス・ジャワ高速道路、主要空港、港湾(メラク港など)、および各主要都市のバスターミナル。
✍ 筆者あとがき:1億人の「絆」と、16万人の「執念」
1億1,000万人以上が同じタイミングで移動する。この数字を聞くだけで、インドネシアという国の凄まじいエネルギーを感じずにはいられません。
「ケトゥパット作戦」という名前の由来となった、レバランの象徴である菱形の餅(ケトゥパット)。家族がそれを囲んで笑顔になる瞬間のために、16万人以上の公務員たちが休暇を返上して路上の安全を守ります。 2026年は前年よりわずかに数字が減ったとはいえ、依然としてジャワ島の幹線道路は「巨大な駐車場」と化すでしょう。日本から出張や観光で訪れる方は、この時期の移動を避けるか、あるいは「何時間遅れても当たり前」という、この国最大の祝祭に向けた大らかな心構えを持つ必要がありそうです。



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