ジャカルタ特別州の住宅所有率が、インドネシア全34州の中で最も低い54.54%であることがBPS(中央統計局)の最新データで判明しました。経済の中心地でありながら、住民の約半数が賃貸(ngontrak)や間借りで生活している実態が浮き彫りになっています。
全国最低の所有率と周辺州との格差
ジャカルタの所有率は、隣接する州と比較しても極端に低い数字を示しています。
- ジャカルタ特別州: 54.54%
- バンテン州: 86.67%
- 西ジャワ州: 83.54%
- 背景: 周辺州はベッドタウンとしての開発が進んでいるのに対し、ジャカルタ市内は「住む場所」から「投資対象・商業地」へのシフトが加速しています。
一般層の手が届かない不動産価格の高騰
政治・経済の拠点が集中するジャカルタでは、土地価格が一般的な給与所得者の上昇率を遥かに上回るスピードで高騰しています。
- 地価の現状: 都心部では1平米あたり数千万ルピアが当たり前となり、中所得層以下にとってのマイホーム購入は「高嶺の花」を超え、ほぼ不可能な領域に達しています。
- 代替手段: 購入を断念した層は、賃貸住宅やKos(コス:格安の集合住宅、下宿)での生活を選択せざるを得ない状況です。
加速する都市化と深刻な住宅不足
地方からの人口流入が止まらない中、政府の公共住宅(Rusun:Rumah Susun)建設も進んでいますが、圧倒的な需要に対して供給が追いついていません。これは単なる不動産問題ではなく、都市格差という深刻な社会課題の象徴となっています。
✍ 筆者あとがき:摩天楼の影で「Kos(コス)」に眠る
スディルマン通りの超高層ビルや豪華なモールを見上げていると、この街が「富の象徴」に見えますが、データは別の顔を教えてくれます。所有率54.54%という数字は、華やかな都会の真裏にあるカンポン(路地裏)や、若手ワーカーが身を寄せ合う数畳一間の「Kos」こそが、ジャカルタの本当の素顔であることを物語っています。
週末になると、バンテンや西ジャワへ向かう通勤電車(KRL)が異常に混み合うのは、みんな「ジャカルタでの賃貸生活」という戦場を離れ、郊外にある「自分の城」へと帰っていくから。あの帰路の疲れ切った、でもどこか安堵した顔。あの光景こそが、この統計の裏側にあるジャカルタっ子のリアルな生存戦略なのです。



コメント