カンボジアのオンライン詐欺組織に囚われていたインドネシア人の帰国が急増しています。外務省の発表によると、直近の1週間だけで462人が帰国。2026年に入ってからの保護者数は、すでに昨年1年間の総数に迫る異常事態となっています。
1週間で462人が帰国、昨年を大幅に上回るペース
プノンペンのインドネシア大使館(KBRI Phnom Penh)は、かつてない規模の保護・支援業務に追われています。
- 急増する帰国者: 1月30日から2月22日までの約3週間で692人が帰国。
- 驚異的な数字: 1月16日からの累計相談者数は4,725人に達し、これは2025年通年の実績(5,088人)の約92%に相当します。
- レバランの影響: 断食明け大祭(イドゥルフィトリ)を故郷で過ごすため、命がけで脱出・保護を求めるケースが今後さらに増える見込みです。
「高収入」の裏に潜むオンライン詐欺の罠
多くの被害者は、SNS等での「カスタマーサポート、高給保証、渡航費無料」といった甘い誘い文句に誘われ、カンボジアへ渡っています。
- 監禁と強制労働: 現地に到着後、旅券を没収され、マカオやフィリピン、北米などを標的としたオンライン詐欺の「打ち子」として強制労働させられる実態があります。
- 大使館による支援: 旅券を失った帰国希望者への帰国用渡航書(SPLP)の発給や、不法滞在扱いとなった際の入管罰金の減免交渉など、多岐にわたる支援が行われています。
国境を越えた犯罪対策の強化
インドネシア・カンボジア両政府は、首脳・閣僚レベルでこの問題に対する連携を強化しています。犯罪シンジケートの摘発と、被害者の安全な保護ルートの確保が急務となっています。
✍ 筆者あとがき:履歴書を跳ね返された先の「出口」
ジャカルタでリクルート活動を見ていると、一つの事務職の求人に数千人の応募が殺到する光景を当たり前に目にします。この凄まじい「買い手市場」の中で、学歴やコネのない若者たちがどれだけ足掻いても、手に入るのは月給数百万ルピアの不安定な仕事ばかり。
そんな彼らにとって、カンボジアからの「高給保証」というメッセージは、単なる欲望ではなく、人生を詰ませないための唯一の「脱出口」に見えてしまったのでしょう。1週間で462人が逃げ帰ったという事実は、彼らの意志の弱さではなく、国内でまともな食い扶持を見つけられないインドネシア労働市場の過酷なまでの「行き詰まり」を映し出しています。


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