2月18日から20日までニューデリーで開催された「AIインパクト・サミット2026」において、インドネシア政府はインドとの間で半導体および人工知能(AI)分野の協力強化に向けた対話を進めました。デジタル経済の覇権を狙う両国の接近は、グローバルサウスの技術自立に向けた重要な転換点となる可能性があります。
「ニューデリー宣言」と国際的合意
世界89カ国・機関が参加した本サミットでは、AIの責任ある活用を謳う「ニューデリー宣言」が採択されました。
- サミットの核心: 先進国主導の技術独占を排し、グローバルサウスへのデジタル技術普及を加速させること。
- インドネシアの存在感: 代表団は、デジタル産業育成を国家戦略の柱とするプラボウォ政権の強い意志をアピールしました。
具体的な3つの連携分野
インドネシアは、世界有数のIT人材を抱えるインドのノウハウを、自国のインフラと市場に融合させる戦略を描いています。
- 半導体サプライチェーン: 部品調達、設計、製造における相互補完体制の構築。
- AI人材育成: エンジニアや研究者の交流を通じた、高度専門人材の底上げ。
- データセンター投資: 爆発的に増加する国内データを処理するための拠点整備と、インド企業による投資誘致。
プラボウォ政権が描く「3,000億ドルの未来」
2030年までにデジタル経済規模を3,000億ドル超へと拡大させる目標を掲げるプラボウォ政権にとって、今回の連携は単なる外交以上の意味を持ちます。
- 脱・資源依存: ニッケルなどの資源ナショナリズムの次に、「デジタル・ナショナリズム(自国のデータを自国で処理・活用する)」を見据えた布石です。
✍ 筆者あとがき:ゴジェックの次は「チップ」と「知能」か
ジャカルタに住んでいると、日本や欧米が歩んだ「固定電話→PC」というステップを軽々と飛び越え、いきなり「全員スマホ」になったリープフロッグ(カエル跳び)の瞬間を肌で感じます。
今回のインドとの連携も、まさにそれ。米中の対立を尻目に、グローバルサウス同士で「自分たちのルール」を作ろうとする姿には、この国が持つしたたかなプライドを感じます。SCBDの高層ビルで深夜まで働く若手エンジニアたちにとって、今回の「ニューデリー宣言」は、かつてのアジア・アフリカ会議(バンドン会議)のデジタル版のような、歴史的な号砲に聞こえているはずです。



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