ハラール認証はインドネシアにおいて「信仰」と「生活」が直結する、最も火種になりやすいテーマですね。特にアメリカとの協定となれば、国民の警戒心が強まるのも無理はありません。
官房長官テディ氏の火消しと、現場の緊張感をリアルに伝えるMarkdownを作成しました。
【通商】「米国製品のハラール免除」は誤報。政府、関税協定に伴うハラール基準緩和を完全否定
インドネシアと米国の間で締結された相互関税協定をめぐり、「米国製品がハラール認証なしで輸入可能になる」という情報が拡散。これに対し、テディ・インドラ・ウィジャヤ内閣官房長官は「事実に反する誤解である」と公式に否定し、ハラール基準の厳守を強調しました。
誤解の発端:協定文書の「調整」という文言
2月19日の米印首脳会談で署名された協定の付属文書(Annex III)に、不慣れな表現が含まれていたことが混乱を招きました。
- 争点: 第2.9条に含まれる「化粧品・医療機器などのハラール規制の調整(Alignment)」という表現。
- 拡散した噂: これが「米国製品に対するハラール義務の撤廃・免除」を意味するという解釈がSNSを中心に広がりました。
政府による4つの公式見解
テディ官房長官は、ハラール認証制度の根幹は揺るがないとして、以下の点を明示しました。
- 食品・飲料: ハラール認証義務は従来通り継続され、例外はない。
- 相互承認(MRA): 米国の認定機関(IFANCA等)が発行した認証をインドネシア側が「認定」する仕組みであり、無認証で良いということではない。
- BPOMの権限: 化粧品や医療機器の輸入に際しては、引き続きBPOM(食品医薬品監督局)の厳格な許認可が必要。
- 基準の維持: 「緩和」ではなく、あくまで認証プロセスの「円滑化」が目的である。
MUIと消費者の敏感な反応
インドネシア宗教学者評議会(MUI)も即座に反応し、市場の沈静化を図っています。
- MUIの声明: 「認証ラベルのない米国製品を消費者が購入する必要はない」と断言。
- 背景: 2024年にハラール認証義務化が本格施行されたばかりであり、消費者の権利意識と宗教的な関心が最高潮に達している時期と重なりました。
✍ 筆者あとがき:ジャカルタの食卓と「ワシントンの論理」
アメリカ側はきっと、「認証機関を共通化するだけじゃないか」と合理的に考えたのでしょう。でも、インドネシアのMUI(宗教学者評議会)が放った「認証がないなら買う必要はない」という一言は、どんな関税協定よりも強力な非関税障壁です。
自由貿易を叫ぶトランプ氏の剣も、ハラールという名の盾には通じない。今回の騒動は、グローバルなビジネスルールが、インドネシア特有の深い文化の壁にぶち当たった滑稽なドラマのようにも見えます。結局のところ、ジャカルタでモノを売りたければ、大統領に気に入られるより先に、1億人の消費者の「信心」に寄り添う必要があるようです。



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