インドネシア1月財政赤字、前年末から大幅改善も課題は残る

経済・ビジネス

インドネシア財務省は、2026年度1月期の国家予算執行状況を発表しました。財政赤字は5兆4600億ルピア(対GDP比0.21%)に留まり、前年末の赤字幅(2.92%)から大幅に改善。プルバヤ・ユディ・サデワ財務大臣は、極めて健全な滑り出しであるとの認識を示しました。

1月の歳入・歳出の実績

年初の予算執行は、税収の堅調さと中央・地方へのスムーズな資金供給が鍵となっています。

  • 歳入合計: 172.7兆ルピア(年間目標の5.5%)
    • 税収: 116.2兆ルピア(目標の4.9%)
    • 関税・物品税: 22.6兆ルピア(目標の6.7%)
    • 非税収入(PNBP): 33.9兆ルピア
  • 歳出合計: 227.3兆ルピア(年間目標の5.9%)
    • 中央政府支出: 131.9兆ルピア
    • 地方移転: 95.3兆ルピア

前年末との比較と年初の特性

2025年通年の赤字(695兆ルピア)と比較すると1月の数字は良好ですが、これには季節的な要因も含まれています。

  • 執行の遅れ: 例年、年初はプロジェクトの入札や準備段階にあるため、歳出が本格化するのは第2四半期以降となります。
  • 見通し: 財務省は、今後数ヶ月で歳出スピードが加速することを想定しつつ、財政規律を維持する構えです。

成長投資と財政健全性のバランス

プラボウォ政権が掲げる「経済成長率8%」と「無償給食(MBG)」などの大型政策が、今後の財政に負荷を与える可能性が指摘されています。

  • IMFの提言: 財政赤字を法定上限(対GDP比3%以内)に抑えるため、所得税の引き上げ等の増税策が必要との見解を示しています。
  • 今後の焦点: 優先政策へのバラマキ的な支出と、健全なインフラ投資のバランスが問われます。

✍ 筆者あとがき:ハネムーン期間と「春の嵐」

「成長率8%」という大統領の号令は、ジャカルタの経済官僚たちにとっては、期待よりも先に胃が痛くなるようなプレッシャーでしょう。この1月の良好な数字は、彼らがプライドにかけて守り抜いた「財政規律」の防衛線そのものです。
しかし、IMFがこっそり「増税しないと足りないよ」と耳打ちしている通り、理想と財布の中身には明らかなズレがあります。ジャカルタの高級レストランで経済界の大物たちが語る「投資の夢」と、財務省の地味な会議室で削られる「歳出の現実」。この2つの世界が激突する音が、年度後半にはスディルマン通りまで聞こえてきそうです。

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