イスラエル政府が、イスラエル市民によるヨルダン川西岸地区の土地購入を解禁すると決定したことを受け、インドネシアを含む有志18カ国は、国際法違反および入植拡大を非難する共同声明を発表しました。この決定は、パレスチナ国家樹立を目指す「二国家解決」を根本から揺るがすものとして、国際社会に波紋を広げています。
国際司法裁判所(ICJ)の判断を無視した入植拡大
今回のイスラエルの決定は、2024年に国際司法裁判所(ICJ)が下した「西岸地区におけるイスラエルの占領および入植活動は違法である」という勧告的意見に真っ向から対立するものです。
- 決定の内容: イスラエル民間人による西岸地区での土地売買を公的に認めることで、既存の入植地の恒久化と拡大を狙う。
- 懸念される事態: パレスチナ住民のさらなる追放や、暴力的な衝突の激化が懸念されており、人道的状況の悪化が不可避とみられています。
「パレスチナの守護者」としてのインドネシア
インドネシアにとってパレスチナ問題は、憲法前文に掲げられた「あらゆる植民地主義の打破」を体現する国家の至上命題です。
- プラボウォ政権の役割: 就任以来、ガザ停戦に向けた医療支援や国連平和維持活動への貢献を積極的に表明。今回の共同声明でも中心的な役割を果たしました。
- 外交戦略: OIC(イスラム協力機構)内での結束を固め、米国や欧州に対し「国際法のダブルスタンダード」を厳しく問う姿勢を鮮明にしています。
国際社会の反応と日本の立場
今回の18カ国共同声明には、トルコ、サウジアラビア、南アフリカなどの有力国が名を連ねましたが、日本を含むG7諸国の多くは個別の懸念表明に留まっています。
- 外交路線の違い: 日本は人道的支援と対話による解決を重視する一方、インドネシアは「不当な占領への明確な拒絶」というより強い政治的メッセージを打ち出しています。
- アジアのリーダーシップ: 東南アジア最大のイスラム人口を抱える国として、インドネシアが国際世論を形成する主要なアクターとなっている現状が浮き彫りとなりました。
✍ 筆者あとがき:譲れない「赤い線」の引き方
ジャカルタの街を歩けば、至る所でパレスチナの旗を目にします。インドネシアにとってこの問題は、遠い異国の紛争ではなく、自国の憲法に刻まれた「植民地主義の打破」という理想を問われる聖戦に近いものです。
2026年、国連人権理事会の議長国という「調整役」の帽子を被りながらも、イスラエルの西岸入植に対しては一切の妥協を見せず、18カ国の先頭に立って抗議の声を上げる。この「全方位外交」と「信念の貫徹」の使い分けこそが、プラボウォ外交の真骨頂です。経済では実利を、理念では正義を。そのしたたかな二段構えに、今のインドネシアの勢いを感じずにはいられません。



コメント