米連邦最高裁がトランプ大統領の関税政策を「権限逸脱」として違法と判断したことを受け、2月23日のインドネシア株式総合指数(IHSG)は反発しました。しかし、トランプ氏が即座に「全世界一律15%」の新関税発動を表明したことで、市場には再び緊張が走っています。
米最高裁判決による一時的な安堵
米最高裁による「違法」判決は、関税リスクに怯えていた新興国市場に一時的な追い風をもたらしました。
- IHSGの動き: * 始値:8,334.54(0.76%高)
- 終値:8,396.08(1.50%高)
- 通貨ルピア: 対米ドルで強含みの展開を見せ、資本流出への懸念が和らぎました。
複雑化するインドネシアの立場
インドネシアは、判決直前の2月20日にトランプ政権と「19%関税」を受け入れる通商協定に署名したばかりという、極めて複雑なタイミングにあります。
- 協定の不透明感: 最高裁の判決により、署名済み協定の法的根拠や意義が揺らぐ可能性が浮上。
- トランプ氏の反撃: 判決直後、大統領令により**全世界一律15%(当初案の10%から引き上げ)**の新関税を表明。インドネシアが結んだ「19%」との整合性が焦点となります。
- 経済への影響とリスク
今後の関税水準の変動は、実体経済の主要セクターに直撃する恐れがあります。
- 繊維・アパレル: 最大の輸出先である米国市場のコスト増に直結。
- サプライチェーン: 電子機器や機械部品のグローバルな供給網再編を迫られる可能性。
- 市場の不安定化: 「判決 vs 大統領令」の応酬により、ルピアと株式市場のボラティリティ(変動幅)は高止まりが予想されます。
✍ 筆者あとがき:19%のサインと、消えない違和感
つい数日前に「19%関税」という苦渋の決断を下し、署名したばかりのインドネシア政府。その直後に最高裁が「そのやり方はダメだ」と言い、さらに大統領が「じゃあ15%だ」と言い出す。これでは、真面目に交渉に臨んだ官僚たちの立場がありません。
ジャカルタの経済省あたりでは、今ごろ「あの署名は一体何だったのか」と頭を抱えている職員も多いでしょう。この国を支える繊維やアパレルの輸出業者にとって、この「関税のジェットコースター」は、ビジネスの計画を立てることさえ困難にする暴挙。1.5%の株価上昇という数字が、どこか現実味のない「空元気」のように感じられてなりません。



コメント