インドネシア国家開発計画省(Bappenas)のラフマット・パンブディ大臣は2026年2月、世界最大級の都市圏「ジャボデタベック」の課題解決をテーマとした国際会議を、同年7月に開催すると発表しました。BRIN(国家研究革新庁)や京都大学などが共同参画し、首都移転後のジャカルタ圏の役割を再定義する歴史的転換点となります。
巨大都市圏「ジャボデタベック」の抱える宿命
ジャボデタベック(Jabodetabek)は、ジャカルタ、ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシを統合した、東南アジア最大の経済圏です。
- 人口規模: 3,400万人超(世界第2位の都市圏)。
- 深刻な課題: 慢性的な交通渋滞、年間を通じた洪水リスク、大気汚染、そして地盤沈下。
- 経済の重心: 首都機能が移転しても、インドネシアのGDPの大部分を稼ぎ出す金融・商工業の中心地であることに変わりはありません。
「ポスト首都移転」ジャカルタの再定義
ボルネオ島の新首都「ヌサンタラ(IKN)」への機能移転が進む中、ジャカルタは「単なる古都」になるのか、それとも「グローバルな経済ハブ」へ進化するのか。
- 都市戦略: 行政都市としての顔を脱ぎ捨て、スマートシティや持続可能なインフラを備えた「経済特別区」としての再設計が議論されます。
- インフラ整備: 首都移転による人口圧散の期待と、既存インフラの老朽化対策のバランスが焦点です。
日本(京都大学)との連携:学術からビジネスへ
今回の会議に京都大学が参画していることは、日本の都市開発知見に対するインドネシア側の高い期待を示しています。
- 日印共同研究: 防災、交通制御、都市工学における日本の先進技術とジャカルタの実情を融合。
- ビジネスチャンス: スマートシティ化、公共交通(LRT/MRT)の延伸、環境対策事業など、日本企業が関与できる分野が明確化される見通しです。
✍ 編集部あとがき:新首都は「理想」、ジャカルタは「稼ぎ場」
政府がカリマンタン島の新首都ヌサンタラに「未来」という名の夢を投影する一方で、このジャボデタベックには3,400万人の「生活」と「欲望」が渦巻いています。首都機能が移転しても、インドネシアの富の源泉がここにある事実は変わりません。
今回の会議に京都大学が名を連ねていることは、日本の技術がこの巨大都市の「外科手術」に不可欠であることを示しています。渋滞、洪水、地盤沈下……山積する課題は、裏を返せばすべてが巨大なビジネスチャンス。新首都の完成を待つよりも、今ここにある「カオス」をどう整理し、利益に変えるか。2026年、投資家たちの真の視線は、依然としてこの熱いメガポリスに注がれています。



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