【エネルギー】プルバヤ財務大臣、マセラ海底ガス田の「障壁解消」を宣言。INPEXアバディ計画が大きく前進

政治・政策

インドネシアの金融システム安定化委員会(KSSK)議長を務めるプルバヤ・ユディ・サデワ財務大臣は、巨大ガス田「マセラ鉱区(アバディLNGプロジェクト)」の開発を阻んでいた許認可上の障壁を解決するため、政府を挙げて支援する方針を表明しました。210億ドル(約3兆円)規模の投資が、ついに動き出そうとしています。

「永遠に始まらない」プロジェクトの転換点

マセラ鉱区は、日本のINPEX(国際石油開発帝石)が1998年の契約締結以来、長年開発を目指してきた世界最大級のガス田です。

  • 進展の背景: 2026年2月20日、INPEXはインドネシア政府から環境社会影響評価(AMDAL)の承認を取得。これにより、掘削からプラント建設までの主要工程にゴーサインが出ました。
  • プルバヤ大臣の介入: 2月24日、プルバヤ大臣はINPEX、プルタミナ、ペトロナスの幹部を集めた「デボトルネッキング会議」を招集。官僚主義的な遅延を排除し、**「国産化率(LCR)要件の緩和」**などの具体的な優遇措置を検討する意向を示しました。

マセラ海底ガス田(アバディ計画)の概要

このプロジェクトは、単なるエネルギー開発を超えた、地域の経済地図を塗り替える規模を誇ります。

項目内容
推定埋蔵量約10.73兆立方フィート(Tcf)
LNG生産能力年間約950万トン(日本の輸入量の約10%以上に相当)
主要株主INPEX (65% / オペレーター), プルタミナ (20%), ペトロナス (15%)
主要技術陸上LNGプラント + CCS(二酸化炭素回収・貯留)

今後のスケジュールと日本への期待

プルバヤ大臣の「強力な押し」により、2030年の生産開始に向けたカウントダウンが始まっています。

  • 2026年4月: 道路などの基本インフラ整備が開始。
  • 2026年中旬: エンジニアリング・調達・建設(EPC)の入札開始を予定。
  • 日本のメリット: 安定的なLNG供給源を確保できるだけでなく、CCS技術を通じた「低炭素エネルギー」の供給モデルとしても期待されています。

✍ 筆者あとがき:ついに「お蔵入り」から「主役」へ

「国産化率(LCR)を緩和してでも進める」――。このプルバヤ財務大臣の言葉に、プラボウォ政権のなりふり構わぬ本気度を感じました。これまでのインドネシアなら、「自国優先」のルールを盾に交渉を長引かせていたはずです。
しかし、8%成長という野心的な目標を掲げる今の政府にとって、INPEXが運んでくる「3兆円」という投資と日本の信頼は、何よりも優先すべき劇薬だったのでしょう。ジャカルタの官僚たちのプライドよりも、実利を優先したこの決断。これは単なるガス田開発のニュースではなく、インドネシアが「投資家から選ばれる国」へと、自らルールを書き換えた瞬間なのかもしれません。

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